

2009 report
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2009年10月22日2007 report
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2009年10月22日2008 report
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2009年10月22日2006年度成果報告
今年度は代表者および分担者のうち5名が、また研究協力者6名の合計11名が本科研課題に関する国内外の現地調査を行った。それぞれが、グローバル化する世界のなかでの近代の徹底化を足もとから問い直そうとしており、とりわけ西欧型近代化の限界問題を考える格好の場所としてストリート(現象)にアプローチしている。
研究代表者関根康正は、イギリスの南アジア系移民社会の生活空間の構築を検討し、本科研が意識的に取り上げる二重の次元のストリートを探索する。トランスナショナルな交通としての移民現象という次元のストリートに加えて、そこでの場所としての物理的なストリート空間の役割を現地調査で解明を試みた。
研究分担者のトム・ギルは、イギリスでのホームレス問題からストリート現象にアプローチした。ロンドンでは「セイント・マンゴーズ」というNGOが運営しているホームレス施設を、リバプールでは、「ホームグラウンド」というホームレス青年用施設を、に1週間泊まりながら、オックスフォードでは、「オックスフォード・ナイト・シェルター」をそれぞれ体験的に調査した。イギリスの膨大なホームレス支援システムを三ヶ所の都市では草の根レベルで見ることができ、比較資料を蓄積でき大きな成果をあげられた。加藤政洋は沖縄那覇市において、戦後の那覇と大阪でほぼ同時期に形成された売春街を例に取り、比較検討した。どちらもいわゆる「風俗」街として存続しているという点で共通しているが、とくに後者ではコリアタウンの形成や新興宗教の拠点形成など、異他なる社会が共在するヘテロトピア的ストリート性を強めている。玉置育子は東京での化粧文化研究の資料収集後に、台北において化粧に関する現地調査を行った。まず、陽光社会福利基金会に出かけ、火傷患者のリハビリ及び社会復帰への支援について調査を行った。顔の皮膚の皮下組織までが破壊されケロイド状になっている患者に対して化粧を施すことで社会に復帰を支援している話しを中心に伺った。その後、台北医科大学において化粧品、情報の入手方法、購入場所、化粧に対する考え方等に関するインタビュー調査を行い成果をあげた。見られる場、みせる場であるストリートというアリーナの基礎資料を蓄積した。近森高明はパリ・ベルリンにて街路の利用形態を対象とする実地調査を行った。パリでは、歴史的建造物の作るストリートであるパサージュが、現在では高級ギャラリーや、移民によるインド料理街、服飾関連の問屋街など、種々に転用されている状況を調査した。ベルリンでは、W・ベンヤミンの描いた1900年前後のベルリンの地誌を現状と比較しつつ、大戦と冷戦の記憶を保存する博物館都市としての面と、記憶が抹消された都市という面が共存する、特異な都市的記憶の構成をストリートにおいて考察する資料を収集した。
6人の研究協力者は、それぞれの以下のような課題をめぐって現地調査を進めて基礎資料を収集できた。國弘暁子はインド・アフマダバード北方のバフチャラ女神字寺院においてヒジュラとストリートという課題に取り組んだ。森田良成は東インドネシア、西ティモールに滞在し、都市部へ出稼ぎに来て廃品回収業に従事する農民の仕事の様態からストリートにおいて村と町がどのような力で接しているのか、その原理を不器用な人々の「耐久力」に探った。朝日由実子は東南アジア地域におけるグローバル化の中でのローカリティの問題を検証すべく、マレーシア、カンボジアにて伝統的染織の実態に関してマクロな力とミクロな対応との両面調査を実施した。山田香織はドイツのミュンヘンにおいて規則によって強く秩序化されたストリートでの公私の狭間で起こる微細で微妙なストリート現象をめぐって実地調査した。木村自は多様な移住者が集まる上ビルマのトランスナショナルな社会空間タウンジーにおいて、雲南から流入した中国ムスリムが有する災因論が多宗教・多民族状況のなかでどのような影響をうけているのかについて調査を行った。内藤順子はチリのサンチャゴ市のスラムにおけるストリートの実態調査から、上からの施策立案を貫く貧困像と貧困者の生活実感からの実践とのズレが浮き彫りになったことは貴重な収穫であった。
このようにトランスナショナリズムと「ストリート現象」について多岐にわたる地域と主題が扱われ、初年度に相応しい実績の蓄積がなされたことにより、来年度以降の具体的展開に確実な足がかりを得た。