

本研究の代表者は、公募により選定された国立民族学博物館の共同研究「ストリートの人類学」を2004年度より主宰している。この共同研究会は年に4回(初年度は3回)の共同研究会を民博で開催する形で実施される3年間のプロジェクトであり、来年度まで行われる。現在3年目であるが、これまでに10回の研究会を開催し、多様な地域の研究者がそれぞれのストリート現象を論じてきた。その研究発表の要約は民博のホームページの共同研究会のページにアップされ、閲覧可能な状態で成果を逐次公開している(下記の国立民族学博物館共同研究「ストリートの人類学」URLからアクセス可能です)。
実は、この「ストリートの人類学」研究会の立ち上げには、更に前史があって、代表者は1998〜2000年度の間に国立民族学博物館の客員教授として「<都市的なるもの>とは何か?」と題した共同研究会を組織したことがある。その成果は、2004年2月に日本生命財団の出版助成を受けて『<都市的なるもの>の現在:文化人類学的考察』として東京大学出版会より公刊された[関根 2004]。現在行っている共同研究会「ストリートの人類学」は、その研究土台の上に企画されたものである。
こうして、理解されるように、本研究にとって、二つの前史になる共同研究会の蓄積はきわめて強固な土台であり、それ無しには今回の本研究も構想されなかった。すなわち、研究会メンバー及びゲストスピーカーからなる地域・関心の多様な研究者の間で継続的に議論を重ねてきた蓄積は、本研究遂行に非常に有利に働く共有財産であり、共有基盤である。したがって、本科研は、上記の「ストリートの人類学」に結集して議論を重ねてきた人々が、再びそれぞれのフィールドのストリート現象の新たな実相を求めて、更なるフィールドワークを実践してストリート問題を実証的に深化させることを願目としている。したがって、「ストリートの人類学」共同研究会の中核メンバーである中堅の研究分担者による調査研究を中軸にしつつ、さらに若手のメンバーに研究協力者としてフィールドワークを大いに実践してもらいたいと考えている。目下進行中の現代的出来事の分析には、その時代の風に敏感な若手の感性や感覚が現場のフィールドワークで生きてくるに違いないし、そこから新たな知見が期待される。共同研究会は会合を持ち議論を重ねているが、本研究の問題意識にそったフィールドワーク実践はまだまだ不十分な状態であると痛感され、世界各地のストリート事象を更に詳しく記述検討する必要がある。以上が、この科研を企画した経緯である。
国立民族学博物館共同研究「ストリートの人類学」(2004-2006)へのリンク: http://www.minpaku.ac.jp/research/jr/04jr070.html